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この章で分かること

相手がずれている方向に、こちらもずらす

  1. GTO と Exploit の二層構造
  2. プレイヤー分類
  3. タイプ別の調整方向
  4. 何回見たら、仮説を強めてよいか
  5. 母集団の典型的なリーク
  6. ベットサイズから何を読んでよいか
  7. Exploit のリスク

GTO と Exploit の二層構造

順番を逆にすると、必ず崩れます

第 1 層:GTO 寄りの基準線

  • 相手が誰か分からない時のデフォルト
  • 搾取されない(負けない)ことが目的
  • ここが無いと、ズレを測る基準が持てない

第 2 層:Exploit の調整

  • 相手の逸脱を観測してから、基準線を動かす
  • 勝ちを最大化するのが目的
  • 調整した分だけ、自分も搾取されやすくなる

基準 → 観測 → 調整。この順番だけは崩さないでください。

なぜ順番が大事か

基準線がないまま「この人は降りそう」と感じて調整すると、それは調整ではなく、ただの気分です。

基準を持っている人だけが、ズレを測れます。

逆に、基準線から一歩も動かないのも損です。母集団には明確な偏りがあり、そこを取らないのは利益を捨てているのと同じです。

プレイヤー分類

VPIP / PFR は目安。ラベルより、具体的な行動を見ます

タイプ VPIP / PFR の目安 最大の特徴
Nit 12 / 10 強い手しか入れない。ブラフを打たない
TAG 22 / 18 標準的な勝ち組。大きな穴は少ない
LAG 28 / 23 広く入り、攻撃的。ブラフ頻度が高い
Calling Station 45 / 8 降りない。ブラフが通らない
Maniac 50 / 35 無差別に攻撃。分散が非常に大きい
Passive Fish 40 / 6 入るがレイズしない。ベットは強い意味

ラベルは仮説のラベルであって、証拠ではありません。次のページの観測基準とセットで使います。

タイプ別の調整方向

どちらに、どれだけずらすか

Calling Station ブラフを減らし、シンバリューを厚くする
Nit ブラフを増やし、強い手には全力で降りる
オーバーブラファー ブラフキャッチを増やす。弱いペアでも拾う
アンダーブラファー 限界的なコールを全部やめる。降りてよい
Passive(ベットが少ない) 相手のベットは強い。レイズにはさらに慎重に
Aggressive(頻度が高い) チェックレイズとブラフキャッチを増やす
Maniac レンジを締め、待ってから強い手で当てる

調整は 1 方向ずつ。「ブラフを減らしつつコールも減らす」のような同時調整は、たいてい矛盾します。

何回見たら、仮説を強めてよいか

ここを決めておかないと、思い込みで戦略を変えてしまいます

観測回数 扱い方 行動
1 回 仮説の種。偶然の可能性が高い 何も変えない
2 〜 3 回 傾向の候補。同じスポットに限る 小さく調整する
5 回以上 傾向として扱ってよい はっきり調整する
10 回以上 戦略変更の根拠になる 基準線を動かす

例外:珍しいスポットほど情報価値が高い

  • リバーのチェックレイズは、そもそも頻度が 2 〜 5% しかない行動
  • だから 2 回見ただけでも「この人は打つ側だ」という情報になる
  • 逆に C-bet のような高頻度の行動は、10 回見ないと傾向と言えない

判断基準:その行動が、母集団平均でどれくらい珍しいか。珍しいほど、少ない観測で意味を持ちます。

母集団の典型的なリーク

相手が誰か分からない時の、初期値として使えます

リバーのブラフが足りない 大きいベットほど顕著。降りてよい
BB のディフェンスが狭すぎる オープンの頻度を上げる価値がある
3bet に対して降りすぎる 3bet ブラフの価値が上がる
C-bet が多すぎる チェックレイズとフロートが効く
ターンで諦めすぎる フロップのコールを広げてよい
弱いペアで降りられない シンバリューを厚く取れる

これらは傾向であって、目の前の相手に当てはまる保証はありません。観測で上書きしてください。

ベットサイズから何を読んでよいか

読み違えると、そのまま逆用されます

読んでよいこと

  • サイズが状況ごとに変わる人か、固定の人か
  • 強い手の時だけ大きくする傾向があるか
  • 同じスポットで、過去に何を見せたか

読んではいけないこと

  • 1 回のサイズだけで手の強さを断定すること
  • サイズと強さの関係を、全員共通だと思うこと

タイミング:オンライン

  • 即コール=限定的な手(強くも弱くもない)が多い
  • 長考後のレイズ=強い側に寄ることが多い
  • 即ベット=事前に決めていた=レンジで打っている

タイミング:ライブ

  • 動作の大きさは信頼度が低い(演技が入る)
  • ベット前の準備動作やチップの持ち方の方が安定

テルは証拠ではなく、情報のひとつです。レンジ分析の結論を覆すのではなく、ぎりぎりの判断を片側に倒す材料として使ってください。

Exploit のリスク

調整には必ず代償があります

逆用される

ブラフを減らせば、相手は安全に降りられます。調整は、相手にも読まれます。

サンプルが足りない

3 回の観測で戦略を変えると、偶然に合わせて戦略を歪めることになります。

戻し忘れる

相手が変わっても調整を続けてしまう。テーブルが変われば基準線に戻します。

目安として、相手が明確に弱い(Station・Nit)場合は大きく調整し、相手が普通に見える場合は基準線から動かないのが安全です。中級者相手の細かい調整が、最も事故を起こします。