第 0 章 ポーカーとは何か
ルール・用語・役・ゲームの流れを、ゼロから
トランプを触ったことがない人でも、この資料を読み終えればテーブルに座って 1 ハンドを最後まで打てる状態になります。
全 5 部構成
この資料について
前提知識は何も要りません
対象
トランプのルールも知らない状態から読めます。「フラッシュって何?」で構いません。
到達点
テーブルに座り、1 ハンドを最後まで自分で打てる状態。役の判定も自分でできます。
扱わないこと
戦略はほとんど扱いません。どう勝つかは、第 1 章以降の資料が担当します。
| 第 1 部 道具と場 | カード・テーブル・チップ・ブラインド |
| 第 2 部 役 | 10 種類の役と、強さの比べ方 |
| 第 3 部 ゲームの進行 | 1 ハンドが始まってから終わるまで |
| 第 4 部 用語集 | 実戦とこの先の資料で出てくる言葉 |
| 第 5 部 最初の一歩 | 最初に覚えること、やりがちな失敗 |
ポーカーとは何か
カードゲームですが、本質はカードではありません
- ポーカーは「相手の手札が見えない状態で、限られた情報から最も得な選択を繰り返すゲーム」です。
- カードの強さを競うゲームではなく、情報と判断を競うゲームだと考えてください。
見えない情報がある
相手のカードは最後まで見えません。だから「推測」が必要になります。
降りる権利がある
負けていると思ったら、いつでも降りられます。この権利がゲームを成立させています。
強い手が必ず勝つわけではない
全員が降りれば、どんなに弱い手でも勝ちます。ここが他のカードゲームと決定的に違う点です。
「配られたカードで戦う」のではなく「配られたカードをどう扱うか」を競います。
テキサスホールデムとは
ポーカーにはたくさんの種類があります。その中の一つです
この形式の特徴
- 自分だけの手札(ホールカード)が 2 枚
- 全員が共有するカード(ボード)が 5 枚
- この 7 枚から、最も強い 5 枚を選んで役にする
なぜ主流なのか
- 共有カードが多く、戦略の幅が広い
- 世界大会の種目で、情報や教材が最も多い
略して「ホールデム」とも呼びます。
他の主なポーカー
- オマハ:手札が 4 枚。そのうち 2 枚を必ず使う
- スタッド:共有カードがなく、各自が表裏のカードを持つ
- ドロー:カードを交換して役を作る
この資料が扱うのは、テキサスホールデムだけです。以降「ポーカー」と書いたらこれを指します。
運と実力の関係
ここを誤解すると、続けられません
短期(1 日、1 週間)
- 運がほぼすべてを決めます
- 強い手が負け、弱い手が勝つことが普通に起きる
- 上手い人が負けることも珍しくない
長期(数万ハンド)
- 判断の質の差が、結果に現れてきます
- 運は平均に近づき、実力差が残ります
運が大きいからこそ、判断を基準にする必要があります。
だから、こう考えます
勝ち負けではなく、判断が正しかったかで自分を評価します。
正しく打って負けることは起きます。
間違って打って勝つことも起きます。
結果だけを見ていると、間違った打ち方が「勝ったから正しい」と記憶されてしまいます。
これが、初心者が最も踏みやすい落とし穴です。
第 1 部 道具と場
カード・テーブル・チップ・ブラインド
トランプ 52 枚の構成
ジョーカーは使いません
ランク(数字)は 13 種類
- A(エース)・K・Q・J・10・9・8・7・6・5・4・3・2
- A が最も強く、2 が最も弱い
- ただし A は 1 として使うこともあります(後述)
4 つのスート(マーク)があります。
左から スペード(♠)/ハート(♥)/ダイヤ(♦)/クラブ(♣)。
どれも同じ 1 組で、13 枚ずつ入っています。
合計 52 枚
- 4 スート × 13 ランク = 52 枚
- 同じカードは 1 枚ずつしか存在しません
- この「1 枚ずつ」が、後でコンボ計算の土台になります
スートに強弱はありません
最初に覚えてほしい、重要なルールです
では、同じ役ならどうなるか
- 完全に同じ強さなら、ポットを山分けします
- これをスプリットポットと呼びます
♠ が ♣ より強い、ということはありません。
A♠ と A♥ は、まったく同じ強さです。
他のトランプゲームとの最大の違いのひとつです。
スートが意味を持つ場面
- 同じスートを 5 枚集めるとフラッシュになる
- 強弱ではなく「揃うかどうか」だけが意味を持ちます
カードとハンドの書き方
この先の資料すべてで使う表記です
| 書き方 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| A♠ / As | エース・スペード | スペードのエース 1 枚 |
| K♥ / Kh | キング・ハート | ハートのキング 1 枚 |
| AK | エーキン | エースとキングの 2 枚(スート未指定) |
| AKs | エーキン・スーテッド | 同じスートの AK。s は suited |
| AKo | エーキン・オフ | 違うスートの AK。o は offsuit |
| 77 | セブンズ/ポケットセブン | 7 のペア |
| A♠7♦2♣ | エーナナニー・レインボー | ボードの 3 枚を並べた書き方 |
= 99(ポケットペア)
= A7s(スーテッド)
テーブルと席
6 人テーブル(6-max)を基本にします
席には名前がある
- BTN:ボタン。最後に行動できる席
- SB:スモールブラインド
- BB:ビッグブラインド
- UTG:最初に行動する席
- HJ:ハイジャック
- CO:カットオフ
行動の向き
- 時計回りに進みます
- BTN → SB → BB → UTG → HJ → CO
- 席の名前は、ボタンの位置で決まります
9 人テーブルもありますが、考え方は同じです。この資料は 6 人を基準にします。
ディーラーボタン
毎ハンド、時計回りに 1 つ動きます
ボタンとは
- 「D」と書かれた丸い目印
- この席が、そのハンドで最後に行動します
- 最も有利な席です
なぜ動くのか
- 有利な席を全員が平等に回るため
- 1 ハンド終わるごとに、左隣へ移ります
- 6 人なら、6 ハンドで一周します
席が動くのではなく、ボタンが動きます。座る場所は変わりません。
ブラインド
毎ハンド、強制的にチップを出す 2 人がいます
2 種類のブラインド
- SB(スモールブラインド):0.5BB を出す
- BB(ビッグブラインド):1BB を出す
- カードを見る前に、強制的に出します
なぜ必要なのか
- 最初からポットにチップがある状態を作るため
- 誰も出さなければ、全員が強い手を待つだけになる
- ゲームを動かすための仕組みです
BB は「ビッグブラインド」の略であり、金額の単位名でもあります。
チップとスタックと BB 単位
金額ではなく「BB いくつ分」で考えます
スタックとは
- 自分の目の前にあるチップの総量
- テーブルに出ているチップだけで戦います
- 途中で財布から足すことはできません(ハンド中)
BB 単位で数える理由
- レート(金額)が変わっても、判断は同じになるから
- 「1 万円」ではなく「100BB」と考えます
有効スタックは、自分と相手の少ない方のスタックを指します。
具体例
- BB = 100 円のテーブルで 1 万円分のチップを持っている → スタックは 100BB
- BB = 1000 円のテーブルで 10 万円分を持っていても → 同じく 100BB
この 2 つは、戦略的にまったく同じ状況です。
ポットとは
勝った人が取る、テーブル中央のチップの山です
- 全員が出したチップは、すべてテーブル中央に集められます。これがポットです。
- そのハンドに勝った人が、ポットを全部持っていきます。
ポットの増え方
- ブラインドから始まる(1.5BB)
- 誰かがレイズすれば増える
- 各ストリートでベットが入るたびに増える
ここが重要
- ポットが大きいほど、コールする理由が強くなる
- 「いくら払って、いくら取れるか」の比率が判断を決める
- この比率をポットオッズと呼びます(第 4 部)
最初のうちは「ポットは勝者が全部取る山」とだけ覚えれば十分です。
第 2 部 役
10 種類。強い順に覚えます
役は「5 枚」で作ります
自分の 2 枚とボードの 5 枚、合計 7 枚から選びます
自分の手札 2 枚
+
全員共通のボード 5 枚
= この 7 枚から最強の 5 枚
選び方のルール
- 7 枚のうち、好きな 5 枚を選べます
- 手札を 2 枚とも使わなくても構いません
- 手札を 1 枚も使わなくても構いません
よくある誤解
- 「手札を必ず使う」ルールはありません(オマハとの違い)
- ボードの 5 枚がそのまま最強なら、全員が同じ役になります
役の一覧
上が強く、下が弱い。右は 7 枚で作れる確率です
- 1ロイヤルフラッシュ0.003%
- 2ストレートフラッシュ0.028%
- 3フォーカード0.17%
- 4フルハウス2.6%
- 5フラッシュ3.0%
- 6ストレート4.6%
- 7スリーカード4.8%
- 8ツーペア23.5%
- 9ワンペア43.8%
- 10ハイカード17.4%
確率は「ホールデムで 7 枚見た時に、その役ができている割合」です。最も多いのはワンペアです。
1位 ロイヤルフラッシュ
Royal Flush
7 枚で作れる確率
0.003%
約 3 万回に 1 回
どんな役か
- 同じスートの A・K・Q・J・10
- ポーカーで最も強い役
- ストレートフラッシュの最上位
覚えるポイント
- 一生に数回あるかどうか
- 狙って作るものではない
2位 ストレートフラッシュ
Straight Flush
7 枚で作れる確率
0.028%
約 3600 回に 1 回
どんな役か
- 同じスートで、数字が 5 枚連続
- 例:9♥8♥7♥6♥5♥
- ロイヤル以外のストレートフラッシュ
覚えるポイント
- ほぼ負けない役
- これも狙って作る役ではない
3位 フォーカード
Four of a Kind
7 枚で作れる確率
0.17%
約 590 回に 1 回
どんな役か
- 同じ数字を 4 枚そろえる
- 例:7♠7♥7♦7♣ + 1 枚
- クワッズとも呼びます
覚えるポイント
- ポケットペアからできることが多い
- 相手が強い役の時ほど大きく勝てる
4位 フルハウス
Full House
7 枚で作れる確率
2.6%
約 38 回に 1 回
どんな役か
- 同じ数字 3 枚 + 別の数字 2 枚
- 例:Q♠Q♥Q♦ + 4♠4♣
- 「スリーカード+ワンペア」
覚えるポイント
- ボードにペアがある時に警戒する
- 3 枚の方の数字で強弱が決まる
5位 フラッシュ
Flush
7 枚で作れる確率
3.0%
約 33 回に 1 回
どんな役か
- 同じスートを 5 枚そろえる
- 数字の連続は必要ない
- 例:A♣J♣8♣5♣2♣
覚えるポイント
- 最も高いカードで強弱が決まる
- A のフラッシュを「ナッツフラッシュ」と呼ぶ
6位 ストレート
Straight
7 枚で作れる確率
4.6%
約 22 回に 1 回
どんな役か
- 数字が 5 枚連続
- スートはバラバラでよい
- 例:9♦8♠7♥6♣5♦
覚えるポイント
- 一番上の数字で強弱が決まる
- ボードが連続している時は要注意
7位 スリーカード
Three of a Kind
7 枚で作れる確率
4.8%
約 21 回に 1 回
どんな役か
- 同じ数字を 3 枚そろえる
- 例:5♠5♥5♦ + 2 枚
- セット/トリップスとも呼ぶ
覚えるポイント
- 手札のペアから作ると「セット」
- 強く、かつ隠れやすい役
8位 ツーペア
Two Pair
7 枚で作れる確率
23.5%
約 4 回に 1 回
どんな役か
- ペアが 2 組
- 例:J♠J♦ + 6♥6♣ + 1 枚
- 上のペアから比べます
覚えるポイント
- よく出るが、負けることもある強さ
- ボードが伸びると弱くなる
9位 ワンペア
One Pair
7 枚で作れる確率
43.8%
最も起きやすい役
どんな役か
- 同じ数字が 2 枚
- 例:T♥T♣ + 3 枚
- 最も多く登場する役
覚えるポイント
- ボードの一番高い札とのペアが「トップペア」
- 残り 3 枚(キッカー)で勝負が決まる
10位 ハイカード
High Card
7 枚で作れる確率
17.4%
約 6 回に 1 回
どんな役か
- 何の役もできていない状態
- 一番高いカードで比べます
- 「ノーペア」とも呼ぶ
覚えるポイント
- それでも全員が降りれば勝てる
- A が 1 枚あるだけで勝つこともある
同じ役どうしの比べ方
ここが最初のつまずきどころです
ボード
A さん
B さん
A さんの勝ち
K が Q に勝つ
キッカーとは
- 役を作った残りのカードのこと
- 2 人ともワンペア(A のペア)で並んでいる
- 次に高いカードで勝負が決まる → K vs Q
比べる順番
- ① まず役の種類(フラッシュ > ストレート)
- ② 同じ役なら、役を作った数字の大きさ
- ③ それも同じなら、キッカーを上から順に
5 枚すべてが同じ強さなら、ポットを山分け(スプリット)します。
A は「1」としても使えます
ストレートで唯一の例外です
成立する
成立しない
A-2-3-4-5 は成立する
- この時、A は 1 として扱われます
- 「ホイール」または「バイシクル」と呼びます
- ストレートの中では最も弱い
K-A-2-3 はつながらない
- A を挟んで一周することはできません
- A は「一番上」か「一番下」のどちらかだけ
この例外があるため、A5s のような手がストレートを作れます。後の章で重要になります。
よくある勘違い 6 つ
最初に潰しておくと、後が楽になります
| スートに強弱がある | ありません。A♠ と A♥ は同じ強さです |
| 手札を必ず 2 枚使う | 使わなくて構いません。ボードの 5 枚だけでも成立します |
| K-A-2-3-4 はストレート | つながりません。A は上か下のどちらか |
| フラッシュは数字も連続が必要 | 不要です。スートが同じ 5 枚であれば成立します |
| ツーペアは 3 組でも作れる | 役は 5 枚。上位 2 組だけを使います |
| 役が強い人が必ず勝つ | 全員が降りれば、役に関係なく勝ちます |
特に 2 つ目は、オマハなど他のポーカーと混同しやすい点です。
練習:この役は何でしょう
ボードと手札から、自分の役を答えてください
ボード
あなたの手札
問題
- Q1:あなたの役は何ですか?(7 枚から 5 枚を選んでください)
- Q2:相手が Q♥J♥ を持っていた場合、どちらが勝ちますか?
- Q3:相手が 9♥9♦ を持っていた場合はどうなりますか?
次のページに答えがあります。先に自分で考えてみてください。
練習の答え
7 枚から 5 枚を選ぶ、という作業に慣れてください
答えを見る
Q1:K のワンペア
- ボードの K♦ と手札の K♠ でペア
- 残りは A♥・9♠・7♣ がキッカー
- 使った 5 枚:K K A 9 7
Q2:あなたの勝ち
- 相手の QJ は何もできていない(ハイカード)
- ワンペア > ハイカード
Q3:相手の勝ち
- 9♥9♦ とボードの 9♠ でスリーカード
- スリーカード > ワンペア
- 同じボードでも、手札が変われば結果が変わります
ここで学ぶこと
- 自分の役だけを見ても、勝敗は分かりません
- 「相手が何を持っていたら負けるか」を同時に考えます
この「相手の可能性を考える」感覚が、第 1 章以降で扱うレンジという考え方につながります。
第 3 部 ゲームの進行
1 ハンドが始まってから終わるまで
1 ハンドの全体像
4 つの場面に分かれています
プリフロップ
ボード 0 枚
手札 2 枚だけを見て判断する
→
フロップ
ボード 3 枚
一気に情報が増える。最も重要な場面
→
ターン
ボード 4 枚
ポットが大きくなり、判断が重くなる
→
リバー
ボード 5 枚
カードは出揃う。最後の判断
共通する流れ
- どの場面でも「カードが配られる → 全員が順番に行動する」の繰り返しです
- 途中で全員が降りたら、その時点で終わります。リバーまで行くとは限りません
手順① ブラインドを出す
ハンドはここから始まります
やること
- SB が 0.5BB を出す
- BB が 1BB を出す
- この時点でポットは 1.5BB
ポイント
- カードを見る前に出します
- 本人の意思とは関係なく、強制です
- この 2 人は、すでにチップを賭けた状態でハンドが始まります
だから BB は、安くコールできる立場になります。
手順② 手札を 2 枚配る
この 2 枚は、自分にしか見えません
配る順番
- SB から時計回りに 1 枚ずつ、2 周します
- 実際のプレイには影響しません
各プレイヤーに、裏向きで 2 枚ずつ配られます。
これをホールカード(hole cards)と呼びます。
この 2 枚は、ショーダウンになるまで誰にも見せません。
ここから判断が始まる
- この 2 枚だけを見て、参加するかどうかを決めます
- 参加するハンドの選び方が、既存の「プリフロップ表」です
行動は 6 種類しかありません
ポーカーでできることは、これだけです
| 行動 | 意味 | できる条件 |
|---|---|---|
| フォールド | 降りる。手札を捨てて、このハンドから抜ける | いつでも |
| チェック | 何も賭けずに、次の人へ回す | 誰もベットしていない時 |
| ベット | チップを賭ける。最初に賭ける行為 | 誰もベットしていない時 |
| コール | 相手と同じ額を出して、ついていく | 誰かがベットした後 |
| レイズ | 相手より多く賭けて、上乗せする | 誰かがベットした後 |
| オールイン | 自分のチップを全部出す | いつでも |
覚え方
- 誰も賭けていない → チェック か ベット
- 誰かが賭けた → フォールド か コール か レイズ
- この 2 パターンしかありません
間違えやすい 3 組
言葉が似ているので、最初に整理します
チェック と コール
- チェック:0 円で次に回す(無料)
- コール:相手と同額を出す(有料)
- 誰も賭けていない時だけチェックできます
ベット と レイズ
- ベット:誰も賭けていない状態で、最初に賭ける
- レイズ:すでに賭けられている額に、上乗せする
「チェック」は英語で軽く机を叩く動作でも示せます。
チェック と フォールド
- チェックできる場面で降りる必要はありません
- 無料で次のカードが見られるのに降りるのは、ただの損
- 初心者が最も多くやる操作ミスです
レイズの呼び方
- 2 回目のレイズ = 3bet
- 3 回目 = 4bet
- 最初のレイズが 1bet ではなく、BB が 1bet 扱いのため
ベッティングラウンドが終わる条件
次のカードが出るタイミングです
終わる条件は 2 つ
- ① 全員が同じ額を出した(または全員チェック)
- ② 1 人を残して全員が降りた
①の場合
- 次のカードが配られ、次の場面に進みます
- プリフロップ → フロップ、のように進行します
②の場合
- その時点でハンド終了。残った 1 人がポットを取ります
- カードを見せる必要はありません
- 実際、ほとんどのハンドはこの形で終わります
だから重要なこと
- 役を作らなくても勝てます
- 「全員を降ろす」も、立派な勝ち方です
降ろして勝つ行為を「ブラフ」と呼びます。ポーカーの中心にある考え方です。
行動する順番
プリフロップと、それ以降で違います
プリフロップ
- BB の左隣(UTG)から始まります
- BB はすでに 1BB 出しているため、最後に行動します
フロップ以降
- SB から始まります(残っていれば)
- BTN が最後。だから BTN が有利です
後に行動するほど、相手の行動を見てから決められます。これがポジションの有利さの正体です。
最低レイズ額のルール
知らないと、テーブルで止まります
基本ルール
- レイズは「直前の上乗せ分」以上、上乗せする
- 例:相手が 3BB にした(1BB → 3BB、上乗せ 2BB)
- 次のレイズは最低 5BB(3BB + 2BB)
上限
- ノーリミットでは上限なし。いつでもオールインできます
- 「ノーリミット・ホールデム」の名前の由来です
最低額は覚えなくても、ソフトが自動で弾きます。
実際のレイズ額の目安
- プリフロップの最初のレイズ → 2.5BB が標準
- 3bet(2 回目のレイズ) → 相手の 3 倍前後
- フロップ以降 → ポットの 25 〜 100%
金額ではなく、ポットに対する割合で決めます。
オールインとサイドポット
チップが足りない人がいる時の処理です
オールインとは
- 自分のチップを全部賭けること
- それ以上は払えないので、以降の賭けには参加しません
- 降りずに最後まで見られます
サイドポットとは
- オールインした人が取れる分(メインポット)と
- それ以上の賭けで作られた分(サイドポット)を分ける仕組み
これも計算はソフトが自動でやります。仕組みだけ知っていれば十分です。
具体例
- A が 20BB でオールイン
- B と C が 50BB ずつ出した
- メインポット:20 × 3 = 60BB → A・B・C の 3 人で争う
- サイドポット:30 × 2 = 60BB → B と C だけで争う
A が最強の役でも、サイドポットは取れません。
ショーダウン
最後まで残った人が、手札を見せ合います
誰から見せるか
- 最後にベットまたはレイズした人から
- 誰もベットしなければ、最も早い席の人から
- 時計回りに見せていきます
負けている人は見せなくてよい
- 「マック」と言って、見せずに捨てられます
- 情報を渡さないための選択です
「役を作って見せ合うゲーム」というイメージは、実態とかなり違います。
判定
- 7 枚から最強の 5 枚を作り、比べます
- 完全に同じならポットを山分け(スプリット)
- オンラインでは自動で判定されます
ショーダウンに行く割合
- 実際にはハンドの 2 〜 3 割程度
- 残りは、誰かが降りた時点で終わります
1 ハンドを最初から最後まで追う
ここまでの内容を、実際の流れで確認します
設定
- 6 人テーブル/全員 100BB/あなたは BTN(ボタン)の席
- BB = 100 円のテーブルだと考えてください。スタックは 1 万円分です。
この後の流れ
- プリフロップ → フロップ → ターン → リバー
- 各場面で、あなたが何を考えるかも書いていきます
読み方
- 金額はすべて BB 単位です
- ポットの増え方を、目で追ってください
プリフロップ① 手札が配られる
あなたに配られたのは A♥ K♠
状況
- UTG・HJ・CO の 3 人がフォールド
- ポットにはブラインドの 1.5BB だけ
- あなたの番です
A♥ K♠。表記すると AKo(エーキン・オフスート)。
プリフロップ表で確認すると、BTN では当然オープンする手です。
むしろ、どの席からでもレイズできる最上位クラスの手です。
あなたの行動
- 2.5BB にレイズします
- 理由:AKo は強く、後ろに 2 人しか残っていない
- ポットは 1.5 + 2.5 = 4BB になります
プリフロップ② BB がコール
2 人でフロップを見ます
| SB | フォールド |
| BB | コール(すでに 1BB 出しているので、追加 1.5BB) |
| ポット | 1.5 + 2.5 + 1.5 = 5.5BB |
| 残りスタック | あなた 97.5BB / BB 97.5BB |
| SPR | 97.5 ÷ 5.5 ≒ 17.7(かなり深い) |
ここまでで決まったこと
- あなたがレイザー(主導権を持つ側)
- あなたが IP(ポジションあり)
- 相手は BB のディフェンスレンジ
言葉の確認
- レイザー:最後にプリフロップでレイズした人
- IP:ポジションあり。フロップ以降、後に行動できる
- この 2 つが、以降の判断の土台になります
フロップ K♦ 7♣ 2♥
ボードが 3 枚めくられました
ボード
あなたの手札
K のワンペア
キッカーは A(最強)
あなたの役
- ボードの K♦ と手札の K♠ でワンペア
- ボードで一番高い札とのペア = トップペア
- キッカーが A なので「トップペア・トップキッカー」
相手の行動
- BB はチェック(何も賭けずに回してきた)
- あなたの番です
フロップ あなたの判断
なぜベットするのか
賭ける理由
- ① 自分より弱い手からコールをもらえる
- ② 相手の弱い手を降ろせる
- ③ ドローに無料でカードを見せない
ボードの性質
- K・7・2 でバラバラ(つながっていない)
- スートも 3 種類。ドローができにくい
- 「ドライボード」と呼ばれる形です
サイズは「ポットの何 %」で決めます。ここでは約 3 分の 1。
行動と結果
- あなた:2BB をベット(ポット 5.5BB の約 36%)
- BB:コール
- ポット:5.5 + 2 + 2 = 9.5BB
- 残りスタック:95.5BB ずつ
相手がコールしたので、何かは持っていると考えます。
ターン 9♠
4 枚目がめくられました
考えること
- このカードで相手が強くなったか? → ほぼ変わらない
- 自分はまだ勝っている可能性が高い
- だから、もう一度バリューを取りに行きます
役は変わらず K のワンペア
9 は、どちらのレンジも大きくは助けないカード
行動と結果
- BB:チェック
- あなた:6BB をベット(ポット 9.5BB の約 63%)
- BB:コール → ポット 21.5BB
リバー 4♦
最後の 1 枚。カードは出揃いました
最後の判断
- 勝っているなら、もう一度払わせたい
- 負けているなら、これ以上払いたくない
- 相手がコールしそうな手を具体的に考えます
最終的な役:K のワンペア(A キッカー)
行動と結果
- BB:チェック
- あなた:10BB をベット(ポット 21.5BB の約 47%)
- BB:コール → ポット 41.5BB
ショーダウン
相手の手札が公開されます
あなた
相手(BB)
あなたの勝ち
- あなた:K のワンペア
- 相手:Q♥J♥ で何もできていない(ハイカード)
獲得
- ポット 41.5BB を獲得
- 自分が出したのは 20.5BB なので、差し引き +21BB
相手の立場で見ると
- Q♥J♥ はフラッシュとストレートの可能性があった
- 最後まで何も完成せず、コールして負けた形です
このハンドで起きていたこと
各場面で判断していた内容の整理です
| プリフロップ | 強い手だったので、主導権を取るためにレイズした |
| フロップ | トップペアができた。相手より強い可能性が高いので賭けた |
| ターン | カードが相手を助けなかったので、もう一度賭けた |
| リバー | 勝っている前提で、払ってもらえる額を賭けた |
| ショーダウン | 相手は何もできておらず、こちらの勝ち |
注目してほしいこと
- 役を作ったから勝ったのではなく、毎回「賭ける理由」を持っていたから勝ちました
- 相手が最後までコールし続けたのは、フラッシュとストレートの可能性があったからです
- 同じ K のワンペアでも、ボードが違えば途中で降りる判断になります
第 4 部 用語集
実戦と、この先の資料で出てくる言葉
用語集の使い方
全部覚える必要はありません
最初に覚える
- ポジション用語(UTG・BTN・BB など)
- アクション用語(チェック・コール・レイズ)
- 手の状態(トップペア・オーバーペア・セット)
後で覚えればよい
- 戦略用語(エクイティ・ブロッカー・MDF)
- GTO や Exploit は、第 6 章以降で詳しく扱います
意味が分かればよく、正確に言えるようになる必要はありません。
この先の資料との関係
第 1 章以降の資料は、ここにある言葉を前提に書かれています。
読んでいて分からない言葉が出てきたら、この部に戻ってきてください。
辞書として使うのが正しい形です。
用語:ポジション
席の呼び方。すべての判断の前提になります
| UTG(アンダーザガン) | 最初に行動する席。最も不利 |
| HJ(ハイジャック) | UTG の次の席 |
| CO(カットオフ) | BTN の 1 つ前。攻撃的に打てる席 |
| BTN(ボタン) | 最後に行動できる。最も有利な席 |
| SB(スモールブラインド) | 0.5BB を強制で出す席 |
| BB(ビッグブラインド) | 1BB を強制で出す席 |
| IP(インポジション) | 相手より後に行動できる状態 |
| OOP(アウトオブポジション) | 相手より先に行動する状態 |
IP と OOP は、同じハンドでも判断が変わるほど重要です。
用語:ブラインドとポット
お金まわりの言葉
| ブラインド | カードを見る前に強制で出すチップ |
| アンティ | 全員が少額ずつ出す追加のブラインド |
| ポット | 中央に集まったチップ。勝者が取る |
| スタック | 自分の手元のチップの総量 |
| 有効スタック | 自分と相手の、少ない方のスタック |
| バイイン | テーブルに座る時に交換する金額 |
| レーキ | 運営に支払う手数料。ポットから引かれる |
| BB 単位 | 金額ではなく BB 何個分かで数える方法 |
レーキは勝率に直接効きます。最初は「手数料がある」とだけ覚えてください。
用語:アクション
テーブルでの行動
| フォールド | 降りる。手札を捨てる |
| チェック | 賭けずに次へ回す |
| ベット | 最初に賭ける |
| コール | 同額を出してついていく |
| レイズ | 上乗せして賭ける |
| オールイン | 持ちチップを全部賭ける |
| リンプ | レイズせずに 1BB だけ払って参加する |
| マック | 負けを認めて、見せずに手札を捨てる |
リンプは弱い行動とされますが、SB では例外的に使われることがあります。
用語:ベットの呼び方
回数と場面で名前が変わります
| オープン(RFI) | 誰もレイズしていない状態での最初のレイズ |
| 3bet | オープンに対するレイズ(2 回目のレイズ) |
| 4bet | 3bet に対するレイズ |
| 5bet | 4bet に対するレイズ。100BB では実質オールイン |
| スクイーズ | オープン+コールがいる状態での 3bet |
| C-bet(コンティニュエーションベット) | プリフロップのレイザーが、フロップで続けて賭けること |
| ディレイド C-bet | フロップをチェックし、ターンで賭けること |
| ドンクベット | レイザーでない側が、先に賭けること |
BB が 1bet 扱いなので、最初のレイズが 2bet、その次が 3bet になります。
用語:手札の書き方
表記のルール
| AKs | 同じスートの A と K(suited) |
| AKo | 違うスートの A と K(offsuit) |
| 77 | 7 のポケットペア |
| ブロードウェイ | 10 以上の高いカード(T・J・Q・K・A) |
| スーテッドコネクター | 同じスートで数字が連続(76s・65s など) |
| ワンギャップ | 1 つ飛びの連続(97s・86s など) |
| ポケットペア | 手札 2 枚がペアになっている状態 |
| ホールカード | 自分だけに配られた 2 枚 |
169 通りの組み合わせが、この表記ですべて表せます。
用語:手の状態①
ペアの呼び分け。ここは実戦で頻出します
| トップペア | ボードで一番高い札とのペア |
| ミドルペア | 2 番目に高い札とのペア |
| ボトムペア | 一番低い札とのペア |
| オーバーペア | ボードのどの札よりも高いポケットペア |
| アンダーペア | ボードの最高札より低いポケットペア |
| TPTK | トップペア・トップキッカー。AK で K-high など |
| キッカー | 役に使われなかった、勝敗を分ける残り札 |
| セット | 手札のペアとボードの 1 枚で作るスリーカード |
同じ「ワンペア」でも、この呼び分けで強さがまったく違います。
用語:手の状態②とドロー
完成していない手の呼び方
| トリップス | ボードのペアと手札 1 枚で作るスリーカード |
| ナッツ | その時点で考えられる最強の手 |
| フラッシュドロー(FD) | あと 1 枚でフラッシュ。9 枚のアウツ |
| オープンエンド(OESD) | 両側が伸びるストレート待ち。8 枚 |
| ガットショット | 内側 1 枚待ちのストレート。4 枚 |
| バックドア | あと 2 枚必要なドロー |
| アウツ | 役を完成させるカードの残り枚数 |
| ブランク | どちらにも影響しないカード |
アウツ × 2 でおよその勝率が出ます(次の 1 枚が来る確率)。
用語:ボードの呼び方
フロップの形を分類する言葉
| ドライ | つながりもスート被りもない。A♠7♦2♣ など |
| ウェット | ドローが多い。9♥8♥7♣ など |
| コネクテッド | 数字がつながっている |
| ペアボード | ボードにペアがある。9♠9♦4♣ など |
| モノトーン | 3 枚とも同じスート |
| ツートーン | 2 枚が同じスート |
| レインボー | 3 枚とも違うスート |
| ボードテクスチャー | ボードの性質全体のこと |
ボードの型で戦い方が変わります。詳しくは第 2 章で扱います。
用語:数字と確率
計算でつかう言葉
| エクイティ | 今の時点での勝率 |
| ポットオッズ | コールに必要な勝率。ベット ÷(ポット+ベット×2) |
| インプライドオッズ | 完成した時に追加で取れる分を含めた期待 |
| リバースインプライドオッズ | 完成しても、さらに失う可能性 |
| EV(期待値) | 長期的に見た平均の損益 |
| SPR | 有効スタック ÷ ポット。どこまで戦えるかの指標 |
| コンボ | ある手が存在する組み合わせの数 |
| 分散 | 結果のばらつき。実力とは別物 |
この 8 つは第 6 章で計算方法まで扱います。今は言葉だけで構いません。
用語:戦略①
攻める側の言葉
| レンジ | 相手(自分)が持ち得る手の集合 |
| バリューベット | 勝っている前提で、払ってもらうためのベット |
| シンバリュー | わずかに勝っている程度の手で、薄く取ること |
| ブラフ | 負けている手で、相手を降ろすためのベット |
| セミブラフ | ドローを持ったままのブラフ |
| ポラライズ | 強い手と弱い手だけで構成されたレンジ |
| リニア | 上から順に強い手で構成されたレンジ |
| レンジベット | レンジ全体で小さく賭けること |
レンジという考え方が、初心者と上級者を分ける最大の境目です。
用語:戦略②
守る側とブロッカー
| ブラフキャッチ | 弱い手で、相手のブラフだけに勝つコール |
| ブロッカー | 自分が持つことで、相手の強い手を減らすカード |
| アンブロッカー | 相手のブラフを減らさない(残す)カード |
| MDF | 降りすぎないための最低防御頻度 |
| ディフェンス | 相手のベットに対して降りずに戦うこと |
| フロート | 弱い手でコールし、次のストリートで奪いに行くこと |
| チェックレイズ | チェックした後、相手のベットにレイズすること |
| ギブアップ | 勝ち目がないと判断して、ブラフを止めること |
ブロッカーは第 5 章と第 7 章で詳しく扱います。
用語:GTO と Exploit
戦略の 2 つの層
| GTO | 理論上、相手に付け込まれない戦略 |
| Exploit | 相手の癖に合わせて、勝ちを最大化する調整 |
| ソルバー | GTO 戦略を計算するソフト |
| 混合戦略 | 同じ手を、複数の行動に確率的に振り分けること |
| インディファレンス | どちらを選んでも EV が同じ状態 |
| ナッシュ均衡 | 互いに戦略を変える理由がない状態 |
| 母集団(プール) | そのゲームにいるプレイヤー全体の傾向 |
| リーク | 自分の戦略にある、EV を失っている穴 |
GTO は「基準線」、Exploit は「そこからのズラし方」です。
用語:プレイヤータイプ
相手を分類する言葉
| Nit(ニット) | 極端にタイト。強い手しか打たない |
| TAG | タイト・アグレッシブ。標準的な勝ち組 |
| LAG | ルース・アグレッシブ。広く入って攻撃的 |
| コーリングステーション | 降りない。ブラフが通らない |
| マニアック | 無差別に攻撃する。分散が大きい |
| フィッシュ | 勝てていないプレイヤーの総称 |
| VPIP | 自分からチップを入れた割合 |
| PFR | プリフロップでレイズした割合 |
ラベルは仮説です。決めつけず、観測で上書きしてください。
用語:メンタルと運用
長く続けるための言葉
| ティルト | 感情で判断が崩れている状態 |
| バンクロール | ポーカー専用の資金 |
| ダウンスイング | 負けが続いている期間 |
| リスク・オブ・ルイン | 資金が尽きる確率 |
| ストップロス | 1 回で負ける上限を決めておくルール |
| ショットテイキング | 上のレートに挑戦すること |
| ゲームセレクション | 勝ちやすいテーブルを選ぶこと |
| ハンドレビュー | 打った後に判断を見直す作業 |
第 9 章と第 10 章で扱います。技術と同じくらい結果に効きます。
用語:トーナメントとオンライン
場面ごとの言葉
| キャッシュゲーム | いつでも参加・退出できる。チップ=お金 |
| トーナメント(MTT) | 全員が同額で参加し、上位が賞金を得る |
| ICM | チップの価値と賞金の価値のズレを扱う考え方 |
| バブル | あと 1 人抜けると賞金圏に入る局面 |
| ブラインドアップ | トーナメントでブラインドが上がっていく仕組み |
| マルチテーブル | 同時に複数のテーブルを打つこと |
| HUD | 相手の統計を画面に表示する補助ツール |
| ハンドヒストリー | 打ったハンドの記録データ |
キャッシュとトーナメントは、同じルールでも戦略が大きく変わります。
用語クイズ
5 問。答えは次のページです
- Q1 「TPTK」とは何の略で、どういう状態を指しますか?
- Q2 3bet とは、何回目のレイズのことですか?
- Q3 OOP と IP、フロップ以降で先に行動するのはどちらですか?
- Q4 フラッシュドローのアウツは何枚ですか?
- Q5 「セット」と「トリップス」の違いは何ですか?
分からなければ、前のページに戻って探してみてください。探す作業そのものが練習になります。
用語クイズの答え
答えを見る
| A1 | トップペア・トップキッカー。ボード最高札とのペア+最強のキッカー |
| A2 | 2 回目のレイズ。BB が 1bet、最初のレイズが 2bet と数えるため |
| A3 | OOP。だから IP(ポジションあり)の方が有利です |
| A4 | 9 枚。同じスートは 13 枚あり、自分の 2 枚とボードの 2 枚を引いた残り |
| A5 | セットは手札のペア+ボード 1 枚。トリップスはボードのペア+手札 1 枚 |
A5 の補足
- セットの方が強い、という意味ではありません。相手から見て隠れやすいのはセットです
- トリップスはボードにペアが見えているので、相手も警戒します
第 5 部 最初の一歩
覚えること、やりがちな失敗、次に読むもの
最初に覚える 5 つ
これだけで、テーブルに座れます
1 役の順番
10 種類を、強い順に言えるようにする。最初はこれだけで十分
2 行動は 6 つだけ
誰も賭けていない → チェックかベット。賭けられた → 降りる・コール・レイズ
3 ポジションは後ろが有利
BTN が最も有利。UTG が最も不利。席で打ち方を変える
4 強い手を待つだけでは勝てない
ブラインドが毎回減っていくため、参加しないと自然に負けます
5 降りるのは負けではない
ほとんどのハンドは降ります。降りる技術が最初の武器です
戦略は、この 5 つが体に入ってからで十分間に合います。
初心者がやりがちな失敗 10
全部、最初は誰でもやります
| 参加するハンドが多すぎる | 弱い手で入ると、フロップ以降で毎回困ります |
| 強い手を必ず最後まで持っていく | AA でも負ける時は負けます。降りる勇気が要ります |
| チェックできる場面で降りる | 無料で次を見られるのに、捨てているだけです |
| ポジションを考えない | 同じ手でも、席が違えば正しい行動が変わります |
| 相手の手を考えない | 自分の手の強さだけで判断している状態です |
| 金額で考える | 「5000 円だから」ではなく「ポットの何 %」で考えます |
| 負けを取り返そうとする | 損失追跡。判断が崩れる最大の原因です |
| 勝った=正しいと思う | 短期の結果は運です。判断で評価してください |
| ブラフを打ちすぎる/全く打たない | どちらも読まれます。理由のあるブラフだけ打ちます |
| 疲れている時に打つ | 判断力が落ちた状態は、そのまま損失になります |
なぜポジションが有利なのか
初心者のうちに、ここだけは理解してください
後に行動できるということ
- 相手の行動を見てから決められる
- 相手が弱いと分かれば、安く降ろせる
- 相手が強いと分かれば、安く降りられる
先に行動する不利
- 情報を先に渡すことになる
- 強い手でも、どこまで賭けてよいか分からない
「どの手か」より「どの席か」が先。これが第 1 章の中心です。
数字で見ると
- UTG から参加してよい手:約 16%
- BTN から参加してよい手:約 48%
同じ強さの手でも、席が違うだけで参加するかどうかが変わります。
3 倍の差は、ポジションの価値そのものです。
「強い手を待つ」だけでは勝てない
初心者が最初にぶつかる壁です
- 6 人テーブルでは、6 ハンドに 1 回ずつ SB と BB が回ってきます。
- 参加しなくても、1 周で 1.5BB が自動的に減っていきます。
待つだけの人に起きること
- 1 時間で数十ハンド、何もせずチップが減る
- たまに強い手が来ても、相手が全員降りる
- 強い手だと分かりやすいので、払ってもらえない
だから必要になること
- 弱くても、条件が合えば参加する
- 強くなくても、降ろせる場面では賭ける
- これがブラフとポジションの考え方につながります
「良い手が来るまで待つゲーム」だと思っていると、静かに負け続けます。
キャッシュゲームとトーナメント
同じルールですが、戦略は別物です
| キャッシュゲーム | トーナメント(MTT) | |
|---|---|---|
| 参加 | いつでも入退出できる | 開始時刻が決まっている |
| チップ | そのままお金の価値 | 賞金に換算される。等価ではない |
| ブラインド | 変わらない | 時間とともに上がっていく |
| スタック | いつでも 100BB に戻せる | 減ったら戻せない |
| 戦略の軸 | チップ EV の最大化 | ICM を含む賞金 EV の最大化 |
| 所要時間 | 好きなだけ | 数時間 〜 十数時間 |
| 初心者向け | 学習しやすい(同じ条件の反復) | 分散が非常に大きい |
この一連の資料は、すべてキャッシュゲームの 100BB を基準にしています。トーナメントは第 9 章で扱います。
お金の扱い
ここだけは、技術の前に決めておいてください
先に決めること
- 失っても生活に影響しない金額だけを使う
- その金額を、生活費とは別の口座に分ける
- 1 回のセッションで負ける上限を決めておく
やってはいけないこと
- 負けを取り返すために金額を上げる
- 決めた上限を超えて続ける
- 借りたお金で打つ
ここは戦略ではなく、前提の話です。
なぜ先に決めるのか
負けている最中に決めようとすると、必ず甘くなります。
ポーカーは分散が大きく、上手い人でも数万ハンド単位で負け続けることがあります。
資金管理は「弱気」ではなく、続けるための前提条件です。
のめり込んでいると感じたら、距離を置いてください。
練習の始め方
いきなりお金を賭ける必要はありません
1 無料のアプリやプレイマネーで、操作に慣れる
ボタンの位置、進行の速さ、役の判定に慣れることが目的
2 役の判定を声に出して確認する
毎ハンド「自分は今なんの役か」を言う。10 分で慣れます
3 プリフロップ表だけを使って打つ
参加する手を決め打ちにして、フロップ以降に集中する
4 1 日 5 ハンドだけ記録する
勝敗ではなく、迷った場面を書き残します
5 第 1 章に進む
ここまでできたら、戦略の学習が意味を持ち始めます
順番に意味があります。操作に慣れる前に戦略を学んでも、実戦では使えません。
次に読むもの
資料全体の地図です
| 資料 | 内容 | いつ読むか |
|---|---|---|
| 第 0 章(この資料) | ルール・役・用語・進行 | 今 |
| プリフロップ・レンジの地図 | 169 通りの参加基準 | 操作に慣れたらすぐ |
| 壁紙チャート | 実戦中に見る早見表 | 打っている最中 |
| ハンド表の設計ノート | 表がどう作られたかの記録 | 「なぜ」が気になったら |
| ホールデム攻略メソッド | フロップ以降の全戦略 | プリフロップが固まったら |
| デフォルト・アクション表 | 全ストリートの行動早見表 | メソッドと並行して |
推奨の順番
- この資料 → プリフロップの地図 → 実戦で 1 週間 → 攻略メソッドの第 2 章へ
- 一度に全部読まないでください。打ちながら、必要になった章だけ開くのが最短です
ここまでで、テーブルに座れます
役が分かり、行動の種類が分かり、1 ハンドの流れが分かれば、
あとは実際に打ちながら覚える段階です。
最初の数十ハンドは、勝ち負けを気にしないでください。
今日やること
役の順番を 10 個、言えるようにする
今週やること
プレイマネーで 100 ハンド打ってみる
来週やること
プリフロップ表を持って、参加する手を固定する
分からない言葉が出てきたら、第 4 部の用語集に戻ってください。