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この章で分かること

EV がプラスでも破産する。その理由と対策

  1. これが分散の正体
  2. リスク・オブ・ルイン
  3. バンクロール基準
  4. ティルトの管理
  5. ゲームセレクション

これが分散の正体

勝率 3bb/100 の勝ち組が、10 万ハンド打った時の 25 パターン

読み取れること

  • 赤線が期待値(+3000BB)
  • 灰色はすべて同じ実力の試行
  • 10 万ハンド後でも 16% はマイナス

ドローダウン

  • 最大の落ち込みの中央値は約 2100BB
  • 最悪のケースで約 6100BB
  • 全員、実力は同じです

シミュレーション:勝率 3bb/100、標準偏差 90bb/100 を 10 万ハンド × 25 回。実力が同じでも、結果はこれだけ散らばります。

リスク・オブ・ルイン

式:exp( −2 × 勝率 × バンクロール ÷ 標準偏差² )

バンクロール(BB)勝率 1bb/100勝率 3bb/100勝率 5bb/100
50088.4%69%53.9%
100078.1%47.7%29.1%
200061%22.7%8.5%
300047.7%10.8%2.5%
500029.1%2.5%0.2%
100008.5%0.1%0%

この式が言っていること

  • 勝率が高いほど破産しにくい
  • 分散が大きいほど破産しやすい
  • バンクロールは指数的に効く

読み方の例

  • 勝率 3bb/100 でも 1000BB では 48% が破産
  • 3000BB で 11%、5000BB で 2.5%
  • EV がプラスでも、資金が足りなければ破産する

連続近似による概算です。実際にはショット・ストップロス・引き出しで変動します。

バンクロール基準

上の計算から逆算した、現実的な目安です

状況 必要バンクロール 破産確率の目安
最低限(リスク許容度が高い) 1500 〜 2000BB 23 〜 33%
標準(専業でないなら) 3000BB 約 11%
安全(生活費を賄うなら) 5000BB 以上 2.5% 以下
トーナメント(分散が桁違い) 100 バイイン以上 -

ショットテイキング

  • 上のステークスに挑戦する時のルール
  • 例:新ステークスで 10 バイイン分の資金を用意
  • 5 バイイン負けたら即座に戻る

ストップロス

  • 1 セッションで失う上限を先に決める
  • 例:3 バイインで終了
  • 理由は資金ではなく、判断力の低下を防ぐため

生活費とバンクロールは、物理的に別の口座に分けてください。混ざった時点で、判断は必ず歪みます。

ティルトの管理

分散は避けられませんが、反応は選べます

よくある引き金

  • バッドビート(EV では勝っていた敗北)
  • 自分のミスに対する怒り
  • 負けを取り返そうとする(損失追跡)
  • 疲労と睡眠不足

起きていること

  • レンジが広がり、降りられなくなる
  • ブラフが増え、シンバリューが減る
  • ステークスを上げたくなる

対策(事前に決めておく)

  • ストップロスを数字で決めておく
  • セッション前に「今日の目標は判断の質」と決める
  • 3 ハンド連続で迷ったら 5 分休む
  • 結果ではなく、判断でセッションを評価する

事後の扱い

  • ティルトしたハンドは、翌日にレビューする
  • その場で反省すると、さらに歪む

ティルトは性格の問題ではなく、事前のルール設計の問題として扱ってください。

ゲームセレクション

どのテーブルで打つかは、技術と同じ重さを持ちます

テーブル平均 VPIP 高いほど良い。35% 以上なら優良
リンプの多さ リンプが多いテーブルは弱い傾向
席の選び方 弱い相手の左(後ろ)に座る
強い相手の位置 強い相手は自分の右(前)が望ましい
レーキ 勝率に直接効く。キャップの有無を確認
有効スタック 深いほど技術差が出やすい
自分の状態 疲れている日は、打たないのも選択

同じ実力でも、テーブル選びで勝率は数 bb/100 変わります。これは戦略の一部です。